シカクとシカクとシカク……シッカク 3

しかし水をためているうちは

すみずみまで注意深く見ているのだが

水が溢れだすようになると

どうしても見えない死角ができてくる。

死角というのは

器から水が溢れだそうとするまさに絶好調の時期に

誰にでも必ず一度はやってくるものなのだ。

そのときに

自分の死角に気がついて反省するなり

さらに視覚を変えることができた人は幸運である。

新たに次のポジション

また少し大きな器が与えられることになる。

しかし

その時点でメゲてしまう人

自分の死角に気づかない人は

「シカク」に小さな「ッ」をはさんで

ポジションシッカク(失格)という烙印を押されてしまう。


竹菱康博